7月2日 GHG削減の道筋
この6月、国内の気温は、観測史上最も暑かったそうです。
毎年、暑さの記録更新で、留まるところを知りません。
海外のニュースを観ていると、本来は涼しいはずのヨーロッパも、熱波の影響で、35度40度といった酷暑だそうです。
ヨーロッパでは、自宅や施設にエアコンがないところも多く、いまエアコン特需が発生しているそうです。
止むナシではありますが、エアコンが急増することは、また温暖化を助長してしまうというリスクがあります。
一方、オーストラリアでは、爆弾サイクロンが発生しているそうです。
日本も世界も、酷暑が、農作物にも極めて深刻な影響を与えています。
それに乗じて、アメリカ大統領は、コメなど米国産農作物の、日本での市場開放を強く要求しています。
自動車の貿易交渉が進まない苛立ちか、交換条件なのでしょうが。
日本の官房長官は、日米関税交渉で、日本の農業を犠牲にすることは絶対にないと発言していましたが・・・、選挙が近いから・・・、でなければ良いのですが。
いずれにしろ、地球温暖化対策を、徹底的に、大至急で、強化すべきことは間違いありません。
日本政府が、2026年から本格導入すると発表済の、温室効果ガス(GHG)排出権取引。
大手企業のGHG削減対策は、他者からカーボンクレジットを購入することでオフセット(相殺)することが選択肢のひとつですが。
報道によると、日本政府は、その購入する取引量の上限を、自社GHG排出量の10%までに制限するとの方針を固めたそうです。
つまり、お金で解決するのではなく、基本的に自助努力でGHGを減らすようにということです。
日本のGHG排出量は、年間10億トン強です。
その10%とすると、1億トンです。
現状、国内で認証されているカーボンクレジット(J-クレジット)は1,000万トン強と、国内排出量の1%程度しかありません。
そもそもカーボンクレジットがぜんぜん足りないので、制限する必要があるかどうかは疑問ではありますが。
いずれにしろ、企業に対して、GHG削減に対する自助努力を強化するようにという強いメッセージは、とても大事なことです。
ところで、各社が自社内だけの自助努力では、なかなか道筋が見えません。
そこで、誰かと協業するという選択肢になります。
その誰かの有力候補が、農業業界です。
大手企業は、自己資金で農業分野に投資をし、農業業界と協業しながら、GHGを削減していくことになるでしょう。
そのような取組みを、これまでのカーボンオフセットに対して、カーボンインセット(IPIが提唱)というそうです。
今も既に始まっていますが、農業業界に対し、一般産業から大きな資金が流入する可能性が高まってきました。
これは農業業界にとっては、朗報です。
農業業界は、どんどん大手企業と連携し、大手企業に資金負担をしてもらい、農業業界は知恵と資産(農地・農場他)と汗を負担し、大手企業と一緒にGHG削減プログラムを実行するということです。
もちろん、農業業界の使命は、GHGを削減するだけではなく、食料安全保障への貢献との両立です。
僕自身も、既に、連日大手企業と協業に関する打ち合わせが続いています。
鉄鋼業界・自動車業界・化学業界など、日本を代表するような産業分野の方々と。
酷暑は大変厳しい問題ですが、災い転じて、農業業界と産業界が組むきっかけになれば。
GHG削減プログラムでの協業は、今後期待が持てる、また不可欠な、道筋です。