8月3日 Vol.2242 森林・泥炭CO2吸収力低下
毎年、世界中で森林火災が拡大している。
日本では、森林への手入れが行き届かず、木の高齢化や立ち枯れも進んでいる。
地球規模で、本来CO2を吸収してくれる森林が、逆にCO2の排出源になりつつある。
森林に付随する泥炭地(分解されない植物が堆積した湿地)は、地球の表面積の3%を占めており、森林よりも大きなCO2吸収(貯留)源となってきたが、それもどんどん後退傾向にある。
人類のCO2排出は、いまや悪循環を生じ、加速度的に悪化している。
大気の高温化、海水の高温化、土壌の高温化、水不足、砂漠化、洪水、などが複雑に絡み合っている。
だから、これまで以上に、徹底してCO2削減を進めなければならない。
いま私たちの中では、千葉にて、森林とまでは言えないが、放置竹林の整備と温室効果ガス削減のプロジェクトがキックオフした。
重機やトラックを持つ地域建築会社が竹の伐採・収集・運搬及びチップ化を行い、私たちがそれを炭化して畑に施用するという流れだ。
以下、クーリエジャポン記事の抜粋をご紹介します。
温室効果ガスを抑制してくれる「森林の力」が弱まっていることが判明。
世界資源研究所(WRI)の研究を引用し、米メディア「アクシオス」は次のように報じる。
「通常、森林などの植生は、化石燃料の燃焼によって排出された温室効果ガスのおよそ30%を吸収する。しかし、2023年と2024年のCO2吸収量は、平均のわずか4分の1だった」
ここ数年で、史上最悪レベルの山火事があちこちで発生した。
2023年と2024年には、火災の急増によってそれぞれ40億トンを超える温室効果ガスが排出されたという。
だが、2023年に森林が吸収したCO2の量は11億トンと、過去20年以上で最低レベルだ。
2024年にはわずかに増加したが、従来よりも遥かに少ない。
「農耕、伐採、火災などによる樹木の減少により、世界中の森林がCO2の吸収源ではなく、排出源に変わってしまうリスクがある」とアクシオスは指摘し、次のように続ける。
「WRIの調査によると、ボリビアの熱帯林やカナダの北方林などはすでに、炭素の吸収源から供給源へと転換しはじめている」
2024年10月、英紙「ガーディアン」が「森林が炭素を吸収しなくなったら世界はどうなる? フィンランドに聞いてみよう」と題した記事を掲載している。
記事によると、フィンランドは2035年までにカーボンニュートラルを達成するとの公約を掲げていた。
これは他のEU加盟国よりも15年早い目標だ。
「人口560万人、国土の約70%が森林と泥炭地(土壌炭素を貯める湿地)に覆われている同国では、この計画は問題にならないだろうと多くの人が考えていた」とガーディアンは書く。
実際、フィンランドの森林と泥炭地は「排出量よりも多くの炭素を確実に吸収してきた」という。
ところが、2010年頃から炭素の吸収量は徐々に減少しはじめ、その後、急速に減少した。
そして2018年までに「フィンランドの陸地吸収源(排出量よりも多くの炭素を吸収する森林や陸地)は消滅」してしまった。
これによる「フィンランドの気候変動対策への影響は劇的だ」とガーディアンは指摘する。
「他のすべてのセクターで温室効果ガスの排出量を43%削減したにもかかわらず、純排出量はいま、1990年代初頭とほぼ同じレベルになっている。まるで30年間何もしてこなかったかのようだ」
地球温暖化によって気温が上昇するに従い、土壌が温まったフィンランドでは泥炭地の分解と温室効果ガスの大気放出が急速に進んでいる。
さらに、干ばつと高温によって枯死する木も増加しているという。
フィンランド南東部では、2017〜2023年のわずか6年間でその量が788%増加した。
立ち枯れ木は約900%増加している。
ガーディアンによれば、気候変動対策の目標を達成するにあたり、少なくとも118ヵ国が「森林などによる温室効果ガスの吸収」をあてにしている。
だが、止まらない森林破壊と気候変動が、それを難しくさせつつあるのだ。