8月13日 Vol.2245 改めてバイオ炭
この数日雨が続きました。
田んぼや畑は、少しは救われたところもあったようですが、効果は限定的です。
日本全体の圃場(農業)が救われたわけではありません。
雨は降ったけれど、そもそも日照りの影響で田んぼはひび割れ保水力が落ちており、降った水がすぐに抜けてしまったところもあるようです。
東南アジアの水田では、AWD(Alternate Wetting&Drying)農法が普及しています。
簡単に言うと、日本とは異なり、そもそも水不足の地域で、節水を基本に間断灌水を行うものです。
日本も今後は、これまでのように豊かな水に恵まれているという発想から、節水を基本にした田んぼに転換すべきかもしれません。
また田んぼの保水力を回復するために、バイオ炭を圃場に入れて土壌改良してはいかがでしょうか。
バイオ炭は、バイオマス(農業残渣)のリサイクルやJ-クレジットという視点で注目されていますが。
大きな特徴は、圃場の土壌改良効果であり、保水力の向上です。
僕は2つの観葉植物鉢にバイオ炭(牛糞)を入れて試験をしてみましたが、これまで水をやるとすぐに鉢から水があふれたのが、今はかなり水の量を増やしてもこぼれなくなりました。
また、新芽がどんどん出て、目に見えて観葉植物が元気になりました。
想像ですが、保水力だけではなく、おそらくバイオ炭のミネラル成分も貢献しているのでと思います。
バイオ炭は、J-クレジットも大事ですが、農業資材として、今後ますます重要になるでしょう。
日本も世界も、どんどん水不足傾向になっています。
それと並行して、土壌が劣化しています。
保水力強化をはじめとした土壌改良に、ゴミ処理負担(費用)のあるバイオマス(農業残渣)を有効活用(リサイクル)したバイオ炭は、極めて重要な選択肢です。
バイオ炭は、農業強靱化と、温室効果ガス削減(CO2、CH4、N2O)の、両立に貢献します。
因みに温室効果ガス(GHG)削減には、大きく2つの取組みがあります。
①GHG排出削減(GHG emission reduction)
②GHG吸収(GHG removal enhancement)
①のGHG排出削減は、省エネルギーや、新エネルギーなどによって、既存のGHG排出量を減らす取組みです。
様々な方法論があります。
②のGHG吸収は、主にバイオ炭と森林です。(その他、海草:ブルーカーボンなどもあるでしょうが)
これらは、地球上に存在するGHGを吸収(炭素貯留:Carbon Storage)します。
数少ないGHG吸収方法論のひとつがバイオ炭です。
日本で認証されているJ-クレジット合計は12,080,000tですが。
そのうちバイオ炭はわずか1,178tです。
全体のわずか0.01%程度です。
バイオ炭は、徹底して拡大する必要がありますし、また伸びしろがあります。
課題は、バイオ炭製造のための炭化装置の設置です。
炭化装置の設置には、相応の資金負担があります。
補助金も活用できますが、企業スポンサーと連携するという選択肢もあります。
炭化装置というインフラを整備しなければ、バイオ炭は普及拡大しません。