8月24日 Vol.2247 出版
これまで、おかげさまで4冊の本を出してきました。
ただし、最新本からは既に14年を経過しました。
最新本は、2011年東日本大震災直後に、講談社さんからご依頼をいただき、東北農業復興策として以下を上梓しました。
「りんご一つにあと20円多く払えば、東北の農業は復興する」
当時、りんごの小売価格が100円内外でしたが、あと20円、つまり2割程度価格を上げれば、持続可能な農業になるという内容でした。
もしそうならなければ、いずれか農作物価格は2割どころか2倍にも3倍にも高騰し、食料インフレ時代に突入してしまうと警鐘を鳴らしました。
昨今のりんごの小売価格は200~300円内外で、やはり2~3倍になってしまいました。
いま改めて、有識者の方々の知恵を結集して、新たな本を出す準備を進めています。
大きなテーマは、「ゼロエミッション(脱炭素型)農業」です。
その「はじめに」のイメージ(案)を、以下にご紹介します。
私たちの大切な地球が、とても危険な局面を迎えている。
気象変動は激しく、毎年毎年、観測史上最高というフレーズが飛び交う。
記録的な高温・干ばつ・大雨・洪水・大雪などが、これでもかと言わんばかりに、断続的に私たち襲いかかってくる。
日本の生活や文化を築いた美しい四季は、かつてとは大きく様変わりし、これからは二季になるなどと言われている。
もはや、なにが普通で、なにが平年通りなのか、よくわからなくなってしまった。
地球の危機は、決してSF映画の作り話しではなく、また循環論でも陰謀論でもない。
地球は46億年もの時間をかけて、安定した自然環境を築き上げてきた。
気温や酸素・二酸化炭素濃度などが上下変動を繰り返しながら、微生物から人類まで、地球上の生命に適正な環境を築き上げてきた。
まさに神の見えざる手である。
地球は、長い年月をかけて、土壌や海底などに、莫大な量の炭素を貯め込んでくれた。
しかし食物連鎖の頂点に立った人類は、18世紀後半の産業革命以降わずか150年の間に、46億年もの間に貯め込んだ貯金をどんどん食い潰しはじめた。
立派なご先祖様が築き上げた資産が、浪費家の末裔によって食い潰されているのだ。
人類の勝手な都合で、石炭や原油などが掘り出され、貯め込まれた炭素は二酸化炭素となって大気に大放出された。
長年安定していた二酸化炭素濃度280ppmは、産業革命以降およそ50%アップし400ppmを超えてしまった。
その二酸化炭素は、地球を巨大なビニールハウスで囲ってしまうような状況を生み出した。
35度以上が珍しくなくなった昨今、そんな時にビニールハウス内は50度近くになっている。
50度の中では、30分も農作業をすることはできない。
人為的で急激な環境変化によって、これまで健康であった地球は、強烈なアレルギー反応を生じることになった。
これが、いま我々が直面している異常なまでの気象変動だ。
暴れ狂う気象変動は、一朝一夕に改善することはできない。
だからといって諦めたり放置したりしていては、事態は悪化するばかりで、地球寿命がカウントダウンを始めることになる。
いま直ちに、人智を尽くして、温室効果ガス削減に取り組む必要があることは、もはや議論の余地がない。
言うまでもなく、これは他人事ではなく、地球上の全人類が背負うべき責務だ。
また、温室効果ガス削減と表裏一体をなすのが農業だ。
温室効果ガスの拡大は、農業に深刻なダメージを与えている。
世界は食料危機に向かっている。
温室効果ガス削減だけを究極の目的としても、地球の明るい未来は描けない。
温室効果ガスが減っても、農業が衰退しては、元も子もない。
我々の目指すべきテーマは、「ゼロエミッション(脱炭素型)農業」の普及拡大だ。
ゼロエミッション農業は、脱炭素化と農業を両立し、地球寿命を維持する不老不死の薬となる。
そしてそれは、決してきれい事を言っているのではない。
経済合理性も含めて、人類が歩むべき道筋とメカニズムを、この本章で明らかにしたい。