10月1日 Vol.2256 一等米

いまのコメ騒動が始まる前の、2020年~2022年の3年間、一等米比率は概ね80%前後でした。
コメ騒動が勃発した2023年は60.9%に急落しました。
だから、結果としてコメ価格が高騰したのは、ある意味理解できます。

一等米比率急落の要因は天候不順等ですから、品質だけではなく実質収量も減っているということになります。
一等米比率=収量(流通量)とは言いませんが、しかし一等米比率は実質的なコメの収量(流通量)に相関関係があります。

昨年2024年の一等米比率は、75.9%まで回復したものの、過去の平年レベルにはまだまだ及びませんでした。
また、2023年からのコメ不足のずれ込み影響もあり、結果として2024年は前年以上のコメ騒動(価格高騰)になりました。

そして、今年2025年、速報ベースで一等米比率は66.5%と発表されました。
過去5年間の平均が約70%だからさほど問題がないような報道も目にしましたが、過去5年間の平均には2023年の60.9%という悲劇的な数値も含まれていますから、参考にはなりません。
むしろ、かつての平年レベルである80%を基準にして、まだまだ足りないと伝えるべきでしょう。
今年の速報値66.5%は、今後回復見込みだと報道されていますが、それでも平年レベルの80%にははるかに及ばないでしょう。
つまり生産現場の皆さんが言っている通り、実際はコメ不足で、高価格は続くということです。

今朝、改めて農水省のホームページを確認しました。
そこには、以下のように記載がありました。

「令和7年産⽔稲の8⽉15⽇現在における10a当たり収量は、前年を「上回る」又は「やや上回る」が13府県、「前年並み」が29都道府県、「やや下回る」が4県の見込みです。
令和7年産主⾷⽤⽶の⽣産⾒込み(対前年56万⽞⽶トン増)に向け、おおむね順調に推移しています。」

「令和6年産水稲の収穫量(主食用)は、679万2,000t(前年産に比べ18万2,000t増加)」

前年の令和5年は一等米60.9%の悲劇的な状況でしたから、その年と比べて増えたと言われても・・・。

農水省は国民に不安感を与えないように、コメはたくさん獲れていると発表しているのでしょうが。
しかし、マーケットの価格高騰を見れば、コメ業界はコメ不足であると認識していることは間違いないでしょう。
不正確な情報が、マーケット価格メカニズムに、悪影響を及ぼしています。

思惑や政策ではなく、できるだけ正確な情報を公開してもらいたいと思います。
情報が正確であれば、あとはマーケットが、神の見えざる手で、自然に適正価格に収束していきます。
適正価格とは、感覚的に高いとか安いとかではなく、コメの生産原価を踏まえた価格です。