10月16日 Vol.2312 「東日本出張」

1週間の東日本出張を終え、ようやく東京に戻りました。
営業車で東京を出発し、茨城・千葉・福島・宮城・青森・北海道と、各地を回ってきました。
およそ3,000キロの旅で、肉体的には少々疲労しておりますが、精神的にはより充実してきました。

地域によって、農業の状況は様々です。
雨の影響で、稲刈りが遅れたり、稲刈り後の稲藁処理ができなかったり、といった地域も散見されます。
天候に翻弄されている地域は珍しくありません。
一方で、良い事例も少なくありません。

福島では、東日本大震災復興事業の一環で、畜産が強化されていますが。
その背景には、大手食肉処理場が経営参画しているそうです。
生産者と大手資本との提携、あるいは生産から加工・流通までの一気通貫モデルと、理想的な事例だと思います。
一方で、畜産には、福島に限らず、畜糞処理という大きな課題があります。
その起爆剤として、ロータリーキルン方式炭化炉が期待されていますが、まだ普及の手前です。
国内には、コスパ要件を充足するロータリーキルン方式炭化炉は見当たりませんので、海外も含めていま調査を進めています。
それが確保できれば、畜糞処理及びバイオ炭普及は大きく前進するでしょう。

仙台では、この10年程度で、セリが新たなスターになりました。
セリは農業者に収益をもたらし、また仙台の名物として定着しました。
減反政策ではありませんが、田んぼの転作としても意義があります。

北海道では、今年は玉ねぎやジャガイモが豊作です。
ただ、農業では豊作貧乏という言葉もある通りで、豊作だからと言って必ずしも喜んでばかりもいられませんが。
ただ、天候という視点で言えば、今年は久しぶりに北海道らしい気候でほっとしたという評価です。
そんな中で心配なのが、またトランプ大統領の一声で、アメリカ産生食用ジャガイモを日本に買えと強いプレッシャーがきていることです。
マーケットの混乱や病害虫の侵入という観点から、大きな懸念材料です。
新農水大臣は、北海道地盤ですが、北海道や日本を代表して、トランププレッシャーにどこまで対抗できるのか・・・。
ここが、もしなし崩しになれば、北海道農業には深刻なダメージを与えることになります。

脱炭素型農業への機運も高まっています。
それが簡単でないことは、みんな百も承知ですが、それでも百年の計で、いまやらなければ本当に地球存続の危機になるのではという意識が高まっています。
田んぼであれば、中干期間延長はもとより、微生物活用、稲わら取り扱い方法の見直し、及びバイオ炭活用などで、ゼロエミッション農業(CO2排出ゼロ)が確立できる可能性が高まっています。

バイオ炭は、田んぼのみならず、農地全体で活用でき、大きな伸びシロがあります。
また上述したように、畜産分野においても、畜産事業者の経営構造改革に貢献します。
現行の規定では、バイオ炭の原料は、未利用バイオマスに限定されていることが、要注意ですが。

その他、J‐クレジットの枠組みにとらわれず、科学的エビデンスを前提に、独自の方法論でインセット(社内・グループ内相殺)に取り組む案件も増えています。

10月になっても、気温20度~25度とまだ暖かく過ごしやすく、寒いよりは平和に思う方々が多いかもしれませんが。
しかし、これも気候変動であることを理解しなければなりません。
大雨や酷暑や激甚災害だけが、気候変動ではありません。

今年は、スーパーエルニーニョの影響で、ペルー沖の海水温が29.7度と史上最高を記録したそうです。
専門家によると、人類が一度も経験したことのないレベルの海水温上昇で、この先も何が起きるかわからないそうです。
ネパールでは、また大きな洪水が発生しています。
ブラジルのイグアスの滝は、そもそも水量世界一ですが、それが通常の8倍もの水量になっているそうです。
一方で、アマゾンは、森林火災が深刻です。
僕の親戚も、マナウス他アマゾン周辺に多く住んでいます。

言うまでもなく、日本もスーパーエルニーニョの影響を受けています。
これから特に心配されているのは、この冬の大雪です。
僕の故郷青森や日本海側の地域は、昨冬も深刻な大雪でした。
雪に慣れた青森市民も、とりわけ高齢者は、もはや普通の生活の維持が困難となっており、その対応策で、僕の実家は戸建てからマンションに引っ越しをしました。

農業をはじめ、社会全体が、これまでの常識から脱却する必要があります。
取り巻く環境という前提条件が変わったのですから、対応策を変えることも当然のことです。
進化論を唱えたダーウィンは、変化する環境に適合できるものだけが生き残れると指摘しています。