2月11日 Vol.2271 改めて脱炭素化

国内において、脱炭素化への取り組み、予想通り加速してきているように感じます。
農業関係者の多くは、脱炭素化に取り組もうと意欲的です。
僕も、脱炭素化の戦略会議や、その前段階の勉強会講師の機会が増えています。

脱炭素型農業に関する公開セミナーは、既にご案内の通りですが、当面は以下のふたつです。
3月11日、島津製作所さん主催セミナー。
5月26日、GCOF主催セミナー。
いずれも農研機構須藤重人先生が中心で、僕も登壇いたします。

農業分野の脱炭素化では、バイオ炭の注目度が高いようです。
炭化炉の設置と、鉱質土壌圃場の確保ができれば、比較的取り組みやすく現実的な方法論です。
微生物活性という視点からも、これまで化学肥料依存度の高かった国内農業の構造改革にも貢献します。

昨今は水不足の様相ですが、田んぼ中干期間延長も、各地で検討・準備が進んでいます。
もちろん、水管理に細心の注意を払う必要がありますが。

畜産では、脱炭素化だけではなく、従来からの環境問題も加味して、家畜排せつ物処理方法の変更への取り組みが進んでいます。
水質汚染・臭気・処理コストなどの問題で、進めざるを得ないというのが本音かもしれません。
畜糞処理と言えば、一般的にはたい肥化と言われますが、実際にはたい肥は完全に余剰傾向です。
広がりつつあった畜糞(主に牛糞)処理のバイオガス発電は、曲がり角を迎えています。
これからは、畜糞のバイオ炭化や、微生物や触媒による強制発酵などが進んでいくでしょう。

工場汚泥や花卉関連など、これまでJ-クレジット方法論として成立していなかったものを、新たな方法論として確立しようという動きもあります。
もちろん、海外案件も含めて。
いわゆるカーボンクレジットの枠組みが広がっていく可能性があります。

脱炭素化の、科学的側面を検証するために、温室効果ガス(GHG)の実測もより重視されてきています。
我々は、世界最先端と言われる、島津製作所さんの温室効果ガスアナライザー(GHG3成分同時分析器)にお世話になりながら、そのような活動を進めています。
温室効果ガスアナライザー : 分析計測機器(分析装置) 島津製作所

農業とは異なる業種の企業による、農業との協業意欲もますます高まっています。
これまでおよそ農業とは縁のない企業による、具体的な取り組みが広がってきました。

脱炭素化には、様々なハードルがあることは言うまでもありませんが。
しかし、着実に取り組みの機運が高まっていることは間違いありません。

一方で、いまだに脱炭素化は本当に必要なのかという意見の方もいるようです。
これだけ、気象変動が激しくなっているというのに。
脱炭素化以外でも、水質・大気・土壌などの汚染につながる、いわゆる環境問題には様々な規制があることは言うまでもありません。
脱炭素化だけを切り取って、必要か否かという意見は、とても空虚に感じます。
我々地球人は、この地球の環境をこれ以上悪化させないように、あるいは改善するように、取り組んでいかなければならないのは当然のことです。
気象変動には様々な要因がありますが、CO2が大きな影響を与えていることは、科学的に立証されている事実です。
IPCCで、日本を含む世界190以上の国と地域で合意されたことです。
よって、脱炭素化に取り組まねければいけないことは明らかであり、議論の余地がありません。

脱炭素化、どうせやるなら、ビジネスライクに、収益性も加味すべきであり、またそうでなければ持続できません。
環境問題をビジネスのネタにしていると批判をする方もいるようですが、これまたナンセンスと言わざるを得ません。
水処理も大気処理も土壌処理も、大きなビジネスになって広がってきました。
ビジネスになるということは、それだけの社会的意義があるということです。

今年の日本は、理念的な脱炭素化から、経済的な脱炭素事業への移行期になるでしょう。