3月29日 Vol.2280 災い転じて構造改革

今日も熱海にて、脱炭素化に取り組む団体との打ち合わせでした。
近日、藻場再生のために、アマモの植え付け作業を行うということで、僕も参加させていただく予定です。
脱炭素化の取り組みは、ひとつひとつは決して大きくはありませんが、それでもこのようなひとつひとつの取り組みが非常に重要です。
全国各地で、様々な脱炭素化の取り組みが、確実に広がっています。

地球上でもっともCO2を吸収してくれているのは海です。
しかし、海水温の上昇、海の酸化、磯焼けなど、海もとても危険な方向に向っています。
それらは、CO2問題もさることながら、食料生産機能の後退や環境破壊につながっていますから、放置するわけにはいきません。

ところで、石油問題はますます深刻です。
我々の社会は、これほどまでに石油に支配されていたのかと、改めて僕も驚いています。
今朝のテレビで、海外の有識者から、僕としてはかなりショッキングなコメントがありました。
1973年と1979年に、2度のオイルショックがあったが、その2度の合計よりも今回のイランショックが深刻だと。
また今回のイランショックでは、コロナ禍と同じような社会状況に陥る可能性があると。
コスト面も含めて、事実上の行動や移動の制限がなされることになる。
また、産業のサプライチェーンがことごとく目詰まりを起こしている。
コロナ禍では、半導体不足により自働車業界で納車が1~2年先などということが頻発していました。

僕はかつて銀行員であったときに、企業の与信判断をする時に、特定の仕入先や販売先に過度に依存することはリスクが高いから回避すべきと教わりました。
過度にとは、全体の20%超の場合と言われました。

これまでずっと、日本の石油は90%以上を中東に依存していました。
2度のオイルショックで大変な苦労をしたにもかかわらず。
どう考えても依存度が高すぎます。
また中東という地域的偏在性のみならず、産業全体における石油に対する依存度が高すぎることも修正すべき側面です。
石油は、燃料や電力のみならず、あまりにも多岐にわたって使われています。
これまで安くて便利であったことは事実でしょうが、しかし過ぎたるは及ばざるがごとし。
そもそも、これまでも石油の価格は上昇傾向であったものが、さらに2倍程度になる可能性があると言われると、さすがに安価で安定した原料とは言えません。
いずれはこのイランショックも、多少は収束するでしょうが、のど元過ぎれば熱さを忘れるということではなく、今回の災いを構造改革の転機としなければなりません。
イランショックの動向にかかわらず、社会の石油依存度を下げることが不可避です。
社会的にCO2排出量を減らすことも必須ですから尚更です。

とするならば、石油を代替する方法論とはなにか?
そのひとつは、このメルマガ前号(Vol2280)に記載した、バイオマスの活用です。
僕の関係先からの最近の報告でも、バイオ炭を作るために炭化炉を導入した結果、その排熱を隣接するイチゴ栽培ハウスの加温に活用し、重油を使う必要がなくなったということです。
バイオ炭による炭素貯留と化石燃料使用量削減という、二重のメリットがあります。
いたってわかりやすく現実的な好事例です。
バイオ炭、排熱利用、バイオマスボイラー、バイオガス、バイオエタノール、CO2リサイクル、ゼロエミッション、等々がキーワードです。
そしてそれらは、CO2を減らすだけではなく、農業生産(経営)そのものを強化する可能性があります。

もちろん、それ以外にもいろんな選択肢があるでしょう。
僕のお世話になっているネパールでは、ヒマラヤをはじめ高い山々が連なり、その特徴を生かして水力発電を強化しています。
ヒマラヤ周辺では、気候変動で氷河が融解して水害が発生しており、脱炭素化にも高い意識を持っています。
日本国内でも、例えば屋久島は、日本一雨が降る地域で、島内の電力はほぼ水力発電で賄われています。
日本の国土の70%以上は山です。
日本国内で水力発電を始めることは、法律等ハードルがかなり高いのは百も承知ですが、しかしそれでも本来はまだまだ水力発電を拡大できるはずです。
少々専門的ですが、ダム方式ではなく、引き込み方式にすれば。
日本国内で、どこでもなんでもできるわけではありませんが、地域に応じた選択肢はあります。
千里の道も一歩からです。

おそらく、今年の日本も、平均気温は観測史上最高を記録更新し、CO2濃度も最高を記録更新し、海水温も更に上昇し、物価高騰は天井知らずとなるでしょう。
そのような現状を踏まえて、それでも温暖化陰謀論や自分一人がやってもたかが知れているなどと言って、脱炭素化に取り組まないのは無責任です。