6月2日 Vol.2289 農業と脱炭素化の両立

一昨日まで静岡、昨日は千葉。
来週は北海道と新潟の出張を予定しており、毎週2日~4日間程度は出張が続いています。
甚だ微力ではありますが、自身の役割があるかぎり、精いっぱいの活動を続けてまいります。

千葉の田んぼでは、例年ジャンボタニシ被害が広がり、小さな田んぼ丸ごと苗が食い尽くされてしまうという事例も。
昨日も、毒々しいジャンボタニシのピンクの卵が散見されました。
そのジャンボタニシ対策として、田植え後間もないというのに、水を抜いている田んぼも多くみられました。
田んぼの水を抜くことは、メタンガスの発生抑制にもつながりますから、やり方次第では一石二鳥と言えるかもしれません。

田んぼの中干(中干延長)がメタンガス削減対策で話題になっていますが。
そもそも中干とは、江戸時代に、コメの生育に有効ということで定着してきた栽培方法です。
温室効果ガスを削減するだけのものではありません。

また、秋に稲刈りが終わると、稲わらを田んぼにすき込むということも一般的にあることですが。
秋にすき込むと雑草が増え、田植えまで何度も耕起する必要があり、それに伴って人件費・労働力・温室効果ガス発生というマイナスが生じます。
稲わらやもみ殻は、秋にはそのまま田んぼに放置し、春の田おこしの際にすき込むことが効率的で温室効果ガス発生も抑制されると言われています。
そこに、バイオ炭というひと手間を加えると、更に農業強化及び温室効果ガス抑制の両立となります。

そもそも稲わらは、以下の様に化学変化し、結局地球温暖化ガスを発生することになります。
C6H12O6(ブドウ糖) → CH3COOH(酢酸)→ CH4(メタンガス)+CO2(二酸化炭素)
よって、稲わらをすき込む量や時期などをコントロールすることで、農業生産の効率化と温室効果ガスの削減の両立ができる可能性があります。
そのような試験や研究も進んでおり、僕もそのような活動に参画しています。
一方で、最近はロールベーラーが普及し、稲わらが畜産などで有効活用される事例も増えていますが。

東南アジアでは、田んぼでAWDという農法が注目されています。
これは、水不足対策として、水管理をより高度化することで、結果として温室効果ガスも削減する方法論です。
つまり、これも農業強化と温室効果ガス削減の両立ということです。
AWDも、温室効果ガス削減だけを目的にしたものではありません。

これほど、地球環境が変動しているというのに、地球温暖化説は陰謀だから、温室効果ガスを減らしても意味がないという発言をする人もまだいるようですが。
農業という、世界人類に不可欠な産業の強化のために、脱炭素型農業が必要であるということをよく理解しなければなりません。
農業における脱炭素化は、負担ではなく、むしろ農業強化のための手段だと考えるべきです。

世界的に物価の高騰が留まりません。
その要因は、中東問題など、政治的な問題もありますが。
しかし、いうまでも気候変動も極めて大きな悪影響を及ぼしています。
米国大統領は温暖化陰謀説を明言していますが、そのおひざ元のアメリカでは、干ばつ・水不足等で飼料トウモロコシや肉牛生産がとても厳しい状況にあります。
そしてその結果、日本国内に流通する米国産輸入牛肉も価格が暴騰し、皆さんが大好きな焼き肉屋さんの多くが廃業に追い込まれています。

我々が目指すべきは、農業生産強化と脱炭素化の両立です。
脱炭素化だけに偏ってフォーカスをすると、それは逆にアンチ脱炭素化や陰謀説のような疑念を生み出すことになります。