6月24日 Vol.2293 「5日間連続出張を終えて」

昨日まで5日間、出張が続きました。
全国各地で多くの方々と打ち合わせをし、農業の深刻な課題を再認識してきました。
もちろん、農業の深刻な状況は、以前から理解していますが、しかし僕の予想以上に猛スピードで深刻度が増しているように感じました。
熊本では、レンタカー自己運転でしたが、恐怖を感じる強い雨で、自然の脅威も再認識しました。

そんな中、また台風7・8号が同時発生し、これから数日間は緊張感をもった対応が必要です。
先日のメルマガVol.2291にも記載しましたが、今年は早々に太平洋高気圧の張り出しが強く、台風発生の可能性が高く、台風が梅雨前線に刺激を与える可能性があり、豪雨リスクが高くなっています。

またその先、スーパーエルニーニョの影響も予断を許しません。
最近のロイター記事を、以下に一部転載します。
スーパーエルニーニョ現象が今後数カ月間にわたって世界の気象を乱し、食糧生産を脅かす可能性が高い。
気象学者によると、アジアの広範囲に高温と乾燥をもたらし、南北アメリカ大陸に豪雨をもたらす傾向のあるエルニーニョ現象は、今後も強まると予想されている。
作物を壊滅させ、社会不安をあおり、世界中で数百億ドルの経済的損失をもたらした過去の記録的な事例を上回る恐れも出ている。
2015~2016年に起きた前回のスーパーエルニーニョ現象は干ばつや洪水、世界での記録的な高温をもたらし、アジアからアフリカに至るまで⁠の農業生産に打撃を与えた。
その前の1997~1998年も広範囲にわたって被害をもたらし、壊滅的な洪水、山火事、作物の不作を引き起こした。
ただし、世界的な農産物在庫が過去最高水準に近いことや、一部の主要生産地域ではほぼ平年並みの天候が見込まれ、事前の計画が整っていることから影響は限定的になる可能性もある。
国連食糧農業機関(FAO)のエコノミスト、シャーリー・ムスタファ氏は「世界の在庫や、コメや穀物の最近の収穫状況に関してはいくらかの明るい材料がある」と指摘し、世界の在庫がエルニーニョの影響をある程度緩和する可能性が高いとの見方を示した。

国内各地では、水害や土砂崩れが心配されています。
岡山では名産の桃が、今年はいまのところ太りがよく順調ということですが、台風での落下や、過剰な雨の影響のよる品質低下などが心配されていました。
いずれにしろ、台風もスーパーエルニーニョもその他も、気候変動には厳戒態勢で臨む必要があります。

この5日間の出張において、とりわけ印象的だったのは、人手不足、後継者不足、事業承継への不安です。
もちろんそんなことは、以前からわかっていることですが、年々深刻度が高まっていることを実感します。
現状では黒字で立派な農業法人や流通・加工事業者まで、農業サプライチェーンのあらゆる分野で、あらゆる地域で、人手が足りません。
現状は、各地での主力人材は70歳代以上が多く、今後10年以内に多くが引退することが見込まれ、一気に農業や農村も崩壊するという声が各地で挙がっています。
賃金安・円安あるいは特定雇用等制度変更などによって、外国人人材確保も困難になってきています。
まずは、農家と言われる家業ではなく、また名ばかりの農業法人ではなく、本質的な法人化や組織化が必要です。
巷では、持続可能というフレーズが流行っていますが、それは現実は持続可能ではないということの表れでしょう。
幸い、企業の農業参入意欲は決して低くはないので、良いペアリングを早急に進めていく必要があります。
M&Aや提携や、事業モデルは様々あって良いと思いますが、いずれにしろ、これまでの農家や地域だけで完結することは難しく、地域外や企業との連携が必要です。
産業として国内農業は厳しい局面にありますが、農業の社会的価値や重要性は下がるどころか高まるばかりです。
脱炭素化の主要プレイヤーとしても、農業や地方は大いに期待されています。
東京だけでは、脱炭素化は進みません。

全国的に、獣害の深刻度も増しています。
以下は現地の声ですが。
新潟では、クマの影響で、もはや山菜取りにも行けない。
トウモロコシなどは、サルによって食い荒らされ、追い払おうとしてももはや人間を恐れることもなくなってしまった。
熊本では、阿蘇の大地震の後に、人間が少なくなったのを契機に、シカやイノシシが急増した。
イノシシは、ダニ取りなのか、田んぼでゴロゴロ身体をこすりつけるため、壊滅的な被害を受ける。
クマ・サル・イノシシ・シカ・カモシカ・鳥・等々、過去にいなかった地域まで、全国的に、どんどん獣が増えていると言われています。
地方の人口減少や衰退と、獣の拡大に相関関係があるようです。

農業とは別ですが。
昨日、島根県出雲市の商店街で大きな火事が発生しました。
被害に遭われた方々には、心からお見舞い申し上げます。
たまたま、一昨日、僕はそこに行きました。
今朝TV報道を観て驚きました。
アーケードの商店街にしては、古い木造の建物が多いな、大丈夫かな、と感じたばかりでした。
商店街では、優しそうなおばあさんが、見ず知らずの僕におはようございますと声をかけてくれました。
人口減少や地方経済衰退は、防災や環境保全の観点からも、不可避な課題です。

そんな大変な農業や地方ではありますが。
しかし、脱炭素化等気候変動対策には多くの方々が前向きです。
自分一人がやれることは知れていると言いながら、絶対にやらなければいけないことだからと、我々の取り組みにも前向きに対応してくれています。
千里の道も一歩からです。
気候変動対策は、一朝一夕には進みませんが、しかしみんなの一歩一歩が、極めて重要であることは間違いありません。
地道な取り組みが続きますが、地道な努力は本来の日本人の強みだったはずです。