7月1日 Vol.2294 「国内自給力強化」
今日は7月1日です。
あっという間に、今年の後半戦が始まりました。
そんな中、昨日、1ドル162円という歴史的な円安水準に至りました。
7月は、また食品の値上げラッシュだと報道されています。
値上げは、毎月毎月のことで、この先も続くでしょう。
国内農業には様々な課題がありますが、とりわけ深刻なのは、構造的に多面的に海外依存度が高いことだと、繰り返し指摘してきました。
このままでは、更に国内農業の生産コストは上昇し、農業者の採算は悪化し、また農業経営の維持が困難になります。
消費者は、物価が高騰し、ますます生活は厳しくなり、また買い控えが進みます。
国内農業が90万tも多用する化学肥料の原料はほとんど輸入です。
直ちに国産バイオマス肥料に転換する必要があります。
化学農薬多用型の栽培スタイルも見直さなければなりません。
畜産粗飼料は、ロールベラーの普及で、国産化は進んでいるものの、まだまだ普及拡大余地があります。
稲わらやもみがらなどは、まだまだ畜産で活用できます。
ハウス加温燃料や茶加工場などは、化石燃料を減らして、バイオマス燃料に転換すべきです。
もちろん、そのためには、ボイラー等機器の切り替えも必要になります。
農作物流通事業者も、相場に一喜一憂して、国産と輸入品をコロコロ使い分けるのではなく、国産シェアのベースをもっと高める必要があります。
そうでなければ、国内農業者の経営はいつまでも不安定なままで、農業者数の減少に歯止めがかかりません。
農林水産省の「バイオマス産業都市」(バイオマス産業都市の取組:農林水産省)など、政策や補助金もどんどん活用していくべきでしょう。
多様な選択肢があります。
栽培品種や品目の見直しも必要です。
気候が変わっているのですから、それに応じた見直しは当然です。
国内農地400万ヘクタール強の約半分は田んぼですが、西日本では田んぼの裏作が進んでおり、一方で東日本ではまだまだです。
東日本は、降雪を理由にしていますが、そのような考え方も環境に応じて見直すべきです。
また、雪下ニンジンなど、雪の下での越冬野菜も普及してきましたので、あえて雪の降る地域での植え付けもまだまだ拡大できます。
土壌分析や微生物の研究なども、発展余地があります。
多くの方々は定期的に健康診断をやっているかと思いますが、土壌の健康診断である土壌分析を定期的に行っている農業者の割合は、非常に少ないでしょう。
経験と勘による農業は、既に限界を超えています。
CO2削減対策として、農業分野では、バイオ炭や中干延長などが注目されていますが。
それらは、CO2削減はもちろんですが、栽培や農業経営の強化に貢献する可能性があることもより認識する必要があります。
例えば、バイオ炭を圃場に施用することで、微生物の活性化が進み、肥料の分解が進み、これまでの肥料投入量を減らすことができる可能性があります。
肥料投入量が減れば、コストも手間も環境負荷も軽減します。
CO2削減活動は、事務手続きは必要ですが、カーボンクレジット化して、生産者所得の上乗せになる可能性があります。
食品ロス問題も、まだまだ改善が必要です。
家庭の努力の結果、家庭での食品ロスは減少傾向にありますが、企業の食品ロスは拡大しています。
量販店やメーカーのバックヤードでは、大量の食品廃棄がなされています。
収益と照らし合わせた時に、むしろ現状維持のほうが良いということでしょうが、企業のフードロス削減への本気度を感じません。
欠品を認めない流通システムを見直す必要があります。
新たな取り組みを進めることは、ノウハウ、体制、機械、サプライチェーンなど、様々な変更や軋轢を生じますが。
それらは、手間であり、コストであり、リスクですから、やっぱり従来通りのやり方を踏襲するということが一般的となるのでしょうが。
しかし、改革はリスクだと言いますが、国内農業業界は、現状維持のほうが、はるかにリスクが大きいでしょう。
なぜなら、国内農業業界は産業として衰退傾向にあるからです。
気象の専門家によると、今年はスーパーエルニーニョの影響で、また歴史的な猛暑になる可能性が高いということです。
おそらく、それが正しいのでしょうが。
しかし現場感覚では、実は冷夏ではないか?という声が挙がっています。
高温よりも、豪雨等水害が非常に心配だという声も挙がっています。
いつの間にか、我々日本を取り巻く環境は、不確実性だらけになってしまいました。
連日僕は、農業関係者との協議が続いていますが、多くの皆さんが、必死の努力をしながらも、なかなか答えを見いだせずにいます。
この現実に立ち向かうためには、日本は自立し、海外依存度を下げて、日本固有の農業戦略を構築し、国内自給力を強化することです。

