6月18日 Vol.2232 農業リスク
今日は宮崎におります。
今日の宮崎は曇りで、思ったほどの暑さではありませんが。
しかし日本中では、6月とは思えない暑さが蔓延しています。
今年も、農業では、様々なリスクが顕在化しつつあります。
今後の要注意事項を記載します。
今年のようなカラ梅雨では、夏場の水不足が心配されます。
酷暑と水不足がダブルパンチになったら、農業は成り立ちません。
一方で、このような不規則の梅雨の年は、終盤にゲリラ豪雨による水害が発生するリスクが高まります。
干ばつと大雨という、両極端のリスクを想定しておくことが必要です。
関東から西日本にかけては、ジャンボタニシ問題も深刻です。
今年は、田植えから少し時間が経過して苗が大きくなってきましたので、そろそろ被害も終盤戦でしょうが。
来年の対策としては、通常の若い苗ではなく、2週間程度栽培期間を延長した中苗での田植えが有効のようです。
イネカメムシをはじめとしたカメムシが、今年も既に異常発生しています。
この数年、カメムシ被害は深刻ですが、今年は更にひどい状況になるかもしれません。
またカメムシ対策の薬剤は、決して潤沢にあるわけではありませんので、早い者勝ちです。
いざとなったら、入手困難という状況が予想されますので、前倒しの手当が必要でしょう。
昔のように、メーカーや流通事業者は、多くの在庫は抱えていません。
農業資材価格は、相変わらず高値で推移していますが。
ただ、世界情勢等を鑑みると、まだまだ価格が上がっても不思議ではありません。
また、価格にかかわらず、そもそも入手困難ということになるかもしれません。
こちらも、早めの手当が必要です。
流通面では、コメ相場が下落するリスクがあります。
昔から豊作貧乏という言葉があります。
もしここでコメ相場が暴落したら、もはや経営は成り立ちません。
皮肉な話しですが、天災や病害虫で、コメの生産にブレーキがかかれば、コメ相場はそれなりに高いところで維持されるかもしれません。
豊作でも不作でも、いずれにしろ、大きな経営リスクがあります。
ふるさと納税制度を使って、この秋の新米を既に相応の高値で売り切っている方もいるようですが、良い手段だと思います。
また、言うまでもなく、高温障害リスクも深刻です。
これほど暑ければ、コメも野菜も畜産も、大ブレーキになります。
国産サクランボの7割を生産する山形では、今年のサクランボ生産量は例年の7割減の見込みだそうです。
高温対策には、最低限、水の確保が必要です。
バイオスティミュラント資材など、植物の免疫力を高める取組みも有効かもしれません。
いずれにしろ、これまで通りのやりかたでは、かなり厳しいでしょう。
そして最後に、米国産農作物への国内市場解放というリスクもあります。
もし、トランプ大統領の圧力で、日本の市場開放が進んだら。
それは農業生産面のみならず、食料安全保障、及び食の安全安心(日本人の健康)という、極めて深刻な問題です。
このような様々なリスクを考慮すると。
やはり、一定の農業生産量を維持できるどうかが、最重要課題だと考えます。
販売価格は、短期的にはともかく、中長期的にはまだまだ上がるでしょうから。
政治が余計な介入(邪魔)をしなければ、農業という産業には大いなるニーズと成長の可能性があります。
また、上記したリスクの多くは、地球温暖化に起因します。
脱炭素化は、すべての人類の共通の課題として、日本も徹底して取り組む必要があります。