9月6日 Vol.2250 ジャンボタニシ

田んぼの大敵、ジャンボタニシ。
正式には、スクミリンゴガイ。
せっかく田植えをした苗を、旺盛な食欲でどんどん食べてしまいます。
毎年被害地域は拡大しており、だんだん北上しています。
これも、温暖化が背景にあります。

この夏、僕の見た目では、例年以上に、あの毒々しいピンクの卵が田んぼに多いように感じました。
来年以降も、被害がより深刻化していくリスクがあります。

先ほど、たまたまテレビで観たのですが。
タイでも、田んぼに、ジャンボタニシはたくさん生息しているそうです。
そのジャンボタニシをエサとして、田んぼのまわりに、コウノトリの仲間のスキハシコウが、大集団を作っているそうです。
番組では取り上げていませんでしたが、おそらくこれだけたくさんの鳥が田んぼにいることで、鳥のフンから、植物に必要な三大栄養素の窒素・リン酸・カリウムも供給されているのではないでしょうか。
スキハシコウは、自然の生態系を確立し、田んぼ農家に大きな恩恵をもたらし、人間と共存しています。

スキハシコウ1羽は、1日に、およそバケツ1杯のジャンボタニシを捕食してくれるそうです。
僕もたまにやりますが、人力で、田んぼでジャンボタニシを拾い集めるのは、かなりの重労働です。
田んぼの泥に足を取られながら、苗をかき分けながら、腰をかがめて、バケツ1杯には何時間もかかります。
ましてや炎天下では。

また、タイでは、人がジャンボタニシを食べる文化があり、普通にマーケットで販売されているシーンも紹介されていました。

日本で大問題のジャンボタニシは、タイでは問題ではないということです。
まさに、生物多様性の良い事例です。
日本では、ジャンボタニシ駆除に、かなりの手間や予算、あるいは被害の負担があります。
生物多様性とは、単なる理念的なものではなく、経済合理性も含めて重要なもです。

日本で、タイ同様に、スキハシコウを導入することはできませんが。
しかし、大いに参考にすべき事例です。
兵庫県豊岡や島根県雲南市などには、コウノトリがいます。
日本では、駆除の他には、田植えする若苗を、これまでよりも大きく育てた中苗にすることで、被害を軽減することができると言われています。
薬剤系も、まったく無いわけではありませんが、・・・。

因みに、いま日本で大問題のジャンボタニシは。
そもそも食用として養殖するために、海外から持ち込んだもので、その商売がうまくいかず、養殖事業者は撤退し、残ったジャンボタニシが自然に広がってしまったのです。
なんとも、日本人の身勝手で浅はかさが、こんな大問題となった人災です。

自然に敬意をもって。
生物多様性の保全や復活に注力することは、経済合理性や、脱炭素化も含めて、我々にはとても大事なことであることを、再認識しなければなりません。