4月27日 Vol.2286 バイオマス

ゴールデンウィークは、国内農業にとってとても大事な季節です。
世間が旅行やレジャーなどと言っている時に、農業者は一生懸命業務に励んでいます。

関東や東北を中心に、田植えの季節です。
国内農業の最大イベントと言っても過言ではありません。
お茶は、一番茶の出荷が始まります。
多くの露地野菜の植え付けや収穫が行われます。
今年は違いますが、僕もかつては、毎年のように山梨のレタス農場で収穫・出荷をやるなど、応援部隊として各地での作業がGW恒例行事でした。

昨今、イラン問題をはじめとした社会的混乱や気候変動が激しく、農業にも深刻な影響を及ぼしていますが。
コメは、昨年秋以降、過剰在庫状態が続いていますので、せっかく上がった相場は下降気味です。
しかし一方で、イラン問題の影響で、生産コストが大幅に上昇しています。
販売価格低下と生産コスト上昇のダブルパンチでは、稲作農家の採算は悪化するばかりです。

お茶業界は、茶葉の生産は悪くないのですが。
茶葉は、収穫後、加工場で、蒸して乾燥するという加工作業によって煎茶になります。
この蒸しと乾燥という工程には、かなりの重油を使用します。
重油は既に価格高騰が始まっており、また今後安定的な調達が難しいと言われています。
お茶は、抹茶ブームがけん引し、煎茶相場も高騰し、昨年は久しぶりに茶生産農家の多くが黒字を確保できました。
今年も茶相場は高値推移が見込まれていましたが、このままでは茶工場の通常運営がままならなくなり、茶相場も不透明感が漂っています。
以前から僕は、重油ボイラーはコスト面とCO2排出の両面から問題があるので、バイオマスボイラーに転換するように言い続けてきました。
急に今シーズンには間に合いませんが、やはり長期的視点でバイオマスボイラーに転換するべきでしょう。

露地野菜の生産には、日本は化学肥料を多用します。
化学肥料の国内年間使用量は90万トンと、世界でもトップランクです。
この化学肥料が、やはりイラン問題を契機に、価格高騰と入手困難が深刻化しています。
ただしこのような状況も、イラン問題が拍車をかけているのは事実ですが、イラン問題前から認識されていたことです。
そもそも化学肥料(原料)のほとんどが輸入品で、環境問題も含めて、依存度を下げるべきだとわかっていたはずなのに、手遅れになった結果です。
改めて、バイオマスや微生物等土壌改良技術の活用を徹底する必要があります。

ハウス栽培も、農業生産の重要な選択肢ですが。
トマト・キュウリなど果菜類から、イチゴや、あるいは花卉の栽培などにも。
これらハウス栽培には、加温のために、重油ボイラーや灯油CO2発生器を多用しています。
これらも、バイオマスボイラーや新しい技術に切り替えていくべきでしょう。
日本のイチゴ最大産地である栃木では、ウォーターカーテン方式なるやり方で、化石燃料に依存しない栽培方法が確立されています。

今般のイラン問題によって、様々な問題を深刻化していることは間違いありませんが。
しかし、そもそも日本の構造がぜい弱であることをわかっていながら、その改善が進んでいなかったことがより大きな問題だということを認識するべきです。

この先、仮にイラン問題が収束したとしても。
そのことには関係なく、過度な化石燃料依存社会から脱却し、もみ殻・剪定枝・畜糞・廃菌床・汚泥等バイオマスという日本固有の資源を有効活用することで、日本の農業や社会の構造は大きく変わる可能性があります。
かつてもそのような取り組みが何度も取り上げられ実行されましたが、結局は尻すぼみになりました。
何故かというと、その頃は、バイオマスに頼るよりも、結局化石燃料に依存したほうが便利で安いからという理由で、補助金の支援が終わった段階で終了しました。
しかしもはや、化石燃料のほうが便利で安いという前提は崩れています。
日本経済は、デフレ社会からインフレ社会に転換してしまいました。
自給率(自給力)を強化するためには、国内にあるバイオマスをはじめとした資源や技術を見直すことです。
少しでも、化石燃料や海外への依存度を低くするべきです。

2011年東日本大震災の渦中で、僕も当時東北におりました。
多くの地域が断水で困っている中、古くからの井戸を大事にしていた農村では、一定の生活を維持できました。
僕はそれを目の当たりにし、僕もその恩恵を受け、やはり目先の効率重視だけではいけないと感じたことを今でも覚えています。