7月5日 Vol.2295 「田んぼ」
この数日、東北をぐるぐる移動中です。
毎回思うのですが、こんなに日本は田んぼだらけなのかという印象です。
一時、糖質制限を理由に、とんでもないコメ悪者説が喧伝されましたが。
最近は、コメはタンパク質(100gあたり2.5g)を含んでいることが、改めて注目されています。 世界はタンパク質不足に向っていますから、タンパク質は重視されており、とりわけ高齢化社会の進むに日本にとっては重要です。
日本の耕地面積は423万ヘクタールで、そのうち田んぼは230万ヘクタールと全体の半分強です。 世界の田んぼの面積は約1億7,000万ヘクタールで、日本の70倍以上。
言うまでもなく、コメは世界の食料事情に大きく貢献しており、主要作物のひとつです。 ベースになる作物ですから、環境や年によって、ブレブレになることは好ましくありません。
この世界の食を支える田んぼから、実はメタンガスを中心に温室効果ガスが多く発生しています。
ざっくり申し上げると、1ヘクタールあたり年間5tのCO2(CO2換算)が発生しています。
日本の田んぼからは、年間1,150万tのCO2が発生しており、それは日本全体が排出するCO2約10億tの1%強にあたります。
世界中では、田んぼから8億t以上のCO2が排出されています。 因みに、田んぼの面積が大きな国は、インド5,200万ヘクタール、中国2,900万ヘクタール、バングラディッシュ1,100万ヘクタール、インドネシア1,000万ヘクタール。
仮に、日本の田んぼ1ヘクタールあたり、3tのCO2を削減し、それをカーボンクレジット化し、tあたり1万円で販売したとすると。 690万t(3t×230万ヘクタール)×1万円=690億円の市場規模になります。
田んぼからのCO2発生を削減することは、地球環境に大きな貢献をすることになります。
中干期間の延長、AWD(間断潅水)、乾田直播、バイオ炭、稲わらやもみ殻の処理方法の見直し、微生物活用等、様々な方法で、田んぼのCO2削減策が図られています。
CO2削減策にともなって、J-クレジット・JCM・ボランタリークレジットと、カーボンクレジットの組成も進んできました。
日本では、この数年、コメが足りないとか、一転してコメ余りだとか、価格が乱高下するとか・・・。
減反廃止だとか、事実上減反は継続されているとか・・・。 ブレブレの状態が続いていますが。
日本も世界も、改めて100年の計を持って、田んぼに向き合っていく必要があります。
幸い、コメの品種改良、機械化、大規模化、あるいは脱炭素化などによって、コメ栽培は高付加価値(高収益化)に向っていく可能性がでてきています。
もちろん、そのためには圃場整備等課題もあります。
現状の高齢農業者が引退してしまう前に、インフラを整備して、新体制に移行する必要があります。 それは、長めに見ても、10年の猶予はありません。
先般、農林水産省が発表した2026年農業構造動態調査によると、個人で農業を主な仕事にする「基幹的農業従事者」は前年比4.8%減の98万6600人で、比較可能な統計資料が残る1985年以降、初めて100万人を下回った。
高齢化で離農の進行に歯止めがかからず、約224万人だった2005年の半分以下になった。
一部は個人から法人に移行しているとは言うものの、全体として農業従事者は減少の一途です。
圃場整備等環境整備を前提にすれば、田んぼは機械化・大規模化・効率化が可能で、農業従事者が減少傾向にある中でも、対応できる可能性があるカテゴリーです。
田んぼの裏作の高度化も重要なテーマです。
田んぼが、CO2を多く排出しているということは、逆に言えば、CO2の削減や吸収の源になる可能性があるということです。
コメ生産の高収益化(収量増、品質アップ、販売単価アップ、生産コスト抑制、販路見直し等)、もみがらや稲わら等副産物の収益化(耕畜連携、バイオ炭等)、裏作の強化(土地利用回転率アップ)、CO2削減及びカーボンクレジット化による収益化、これらの複合的な、きめの細かい組み合わせが、これから一層重要になります。

